中部プラントサービスの取り組み 第13回
電力コストをカットしつつ、CO2の削減にもつながる蓄電池システム

中部プラントサービスでは、事業の拡大とCO2を削減する新しいエネルギーソリューションを多くのお客さまにご提供するため、2020年に本店大江構内にリチウムイオン蓄電システムと太陽光パネルを設置しました。そして本格的な販売を開始するため、実証運用による蓄電池システムの知見を高め、新たなエネルギーソリューションへの取り組みを行っています。
今回はこのリチウムイオン蓄電池設置事業に携わる技術センターの村山さんと、営業本部営業戦略部の村瀬さんに事業の現在と将来の展望についてお話を伺いました。
電気を有効に活用し、平時にも緊急時にも活躍する蓄電池システム

村瀬:中部プラントサービスの蓄電池事業は蓄電池と太陽光パネルの2つの設備の設置、メンテナンスを行なっています。主に工場などで大きな電力を使用するお客さまに向けて設備の提供をしています。こうしたお客さまにとっては使用する電気のコストは大きな課題となります。そこで太陽光パネルを設置し発電した電気をリチウムイオン蓄電池で蓄え、使用電力がピークを迎える時間帯に、この蓄えた電気を使用することで、デマンド値を抑制しコストの削減につなげることができます。また、太陽光発電では電気の供給過多を防ぐための出力制御が義務付けられていますが、この制御により捨てられてしまっていた電気を蓄電池に蓄えることで、無駄なく有効活用することができるのです。
また、蓄電池システムで蓄えた電気は、ピークカットに役立つだけではなく、震災などの非常時には夜間の照明やスマートフォンの充電などにも活用できます。地震への備えが全国的に重要視されている現在では、こうした緊急時の電力確保へのニーズも高まってくるでしょう。 中部プラントサービスでは、太陽光発電と蓄電池のセットでの設置・提供はもちろん、どちらか一方の設置のご依頼も承っており、メンテナンスとあわせて全国を視野に入れた営業を展開しています。

村山:リチウムイオン蓄電池や太陽光発電の設備そのものに関しては、メーカー製品を用いています。中部プラントサービスは、長年にわたり各地の火力発電所やバイオマス発電所のメンテナンスを手掛けていますので、この技術力と知識を生かして、設置だけでなくモニタリングやメンテナンスなどのサービスもセットにして販売できるのが大きな強みです。全国各地のお客さまを対象にしますので、当社の営業拠点から従業員がお客さまの元へ伺うだけでなく、提携するメンテナンス業者と、お客さまの蓄電池システムの安定稼働を維持していける対応力の大きさも特徴と言えるでしょう。
中部プラントサービスの強みを生かした実証実験で知見を獲得

村山:2020年から開始された自社内での太陽光パネルと蓄電池の実証運用は、こうした強みを確たるものとするという意味もありました。この実証運用に関しては、私がマネージャーを務める技術センターと、発電所の設備をメンテナンスするプロフェッショナルの直営技術部、名古屋総合事務所、さらに設計・調達・建設を行うEPC技術部が連携して設置にあたりました。
実証運用では、太陽光発電の電力を蓄電池に貯め、構内で使用することで、カタログスペックにはない電力ピークカットの数値を検証。また、蓄電池の劣化の速度や適切な放電回数なども確かめることができました。さらには、蓄電池の冷却ファンや蓄電池のキャビネットの劣化や定期保守などに関する知見も得られたことで、お客さまに提供する際に手厚く、細かなサービスの実現へとつなげることができました。実証運用が開始されてから3年あまりが経過しますが、メンテナンスフリーとされる蓄電池本体は、ほとんど劣化していません。一方、キャビネットやファンに起こった劣化などに関する情報はメーカーと共有して、今後の製品改善にもつなげていきます。

村瀬:お客さまに蓄電池を提供する際に、設置からメンテナンスまで一貫して対応できるのが当社の大きな強みです。さらにただ設置するだけでなく、当社独自の知見や情報を生かし、お客さまの電力削減がどのくらい見込めるのかを事前にしっかり検討・計画し、提案できる点もお客さまからの信頼を生む1つの要素となっていると思います。
エネルギー資源を有効活用する未来に向けた新たな取り組み

村瀬:当社での蓄電池の実証運用とお客さまへのご提供は、順調に進んでいます。この実績を積んだことで、私たちは次の施策を展開しています。それは系統用蓄電池とよばれるもので、コンテナ1台分のキャビネットにリチウムイオン蓄電池を格納して電力を蓄えるというものです。これを複数並べることで、容量1万キロワット時以上という、発電所に匹敵する電力確保が見込めるのです。

村山:系統用蓄電池が活躍する場所の1つとして、メガソーラーや風力発電などの大規模でサスティナブルな電力を生み出すための発電所が挙げられます。こうした風力発電や太陽光発電は、気候や天候に左右されるため常に発電出力を一定に保つことが難しいのです。この発電出力の変化による周波数の変化を起こさないよう火力発電所などで調整を行っています。この周波数調整を、風力や太陽光で余剰に発電した電気を蓄える系統用蓄電池で賄うことができれば、火力発電所の効率的な運用、さらにそこで発生するCO2も削減できるわけです。
村瀬:この取り組みが順調に推進できれば、サスティナブルな電力確保への道も大きくひらけますし、温暖化を抑制する一手ともなるはずです。当社でもさらに、知見の獲得や実績を積み重ねていきたいですね。
村瀬さん プロフィール

2005年入社 | 経理部 |
---|---|
2018年 | 総務部 給与・厚生総括センター 主務 |
2023年 | 営業本部 営業戦略部リーダー |
村山さん プロフィール

1992年入社 | 西名古屋火力発電所 電測課 |
---|---|
1999年 | 火力総合事務所工事計画部 電測一課 |
2004年 | 技術開発部開発グループ 主務 |
2007年 | 技術士(電気電子部門)資格取得・登録 |
2010年 | 設計本部電気計測設計部 担当副長 |
2023年 | 技術センター マネジャー |
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