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中部プラントサービスの取り組み 第11回

地球にやさしいバイオマス発電所を動かす、スタッフ同士の強い絆

木質バイオマスを燃料とする発電所、三重県多気郡の「多気バイオパワー」。 2022年10月から2号機となる「多気第二バイオパワー」が完成、稼働した。三重県内の間伐材や近隣県の森林資源を利用するとともに、多気町民の果樹剪定枝や竹材などの100%国産材を使用して発電するこの発電所では、設備の運転やメンテナンスを担当する女性社員が活躍している。今回は、パワフルに働き、成長を続ける中部プラントサービスの鵜飼さんと、彼女を指導・教育するチーフリーダーの岡南さんの話を聞いた。

机上の知識は、現場での実践によって実のあるものになる

鵜飼さんは2021年に中部プラントサービスに入社。同年の8月から「多気バイオパワー」に勤務している。普段の仕事では、プラント内の巡視や直接作業、現場監督補佐、さらに定期的な設備メンテナンスなど多岐にわたる業務を手掛けるという。
訪れた時期は、ちょうど多気第二バイオパワーが稼働から3か月を迎えた時期で、鵜飼さんと岡南さんは、次の定期点検に向けた計画を立てていた。
まずは鵜飼さんに、2回目となるその定期点検に向けて、その意気込みを尋ねた。

「定期点検では、作業を安全に行うため、作業員が入る装置の電源を落とし、最もダメージをうけるボイラーの内部の開放点検・モーターやポンプなどの回転機器の状態確認、潤滑油の入れ替えなどを行います。その後、補修点検終了後の試運転をするといった流れです。定期点検では、実際にボイラーの中に入ってその様子を見ることができるのが、素晴らしいですね。普段私たちは、知識では発電所を理解していますが、実際に現場で実物の中に入り、その構造を見るのは非常に有意義です。それまでの知識と現実の構造をリンクさせながら理解できますから」

「多気バイオパワー」「多気第二バイオパワー」は少数精鋭の人員構成となっている。社員はそれぞれに、自らの専門となる仕事を持ちつつも、他の社員の仕事を補って働くオールマイティーな活躍が求められる。これに対して岡南さんはこう語る。

「定期点検の実践は、またとない学びの場です。多気バイオパワーでは基本的に、若手や中間層、ベテランといった区分けで、点検時の仕事を割り振ることはしていません。誰もが等しく、作業を見て学び、完遂できるような仕事の割り振りや人員編成をしているんです。
現在は鵜飼さんにはバイオマス発電所のメンテナンスをメインに活躍してもらっていますが、今後は火力発電所の現場監督、分解点検 試運転までの一連の流れを俯瞰的に理解してもらいたいですね」

発電所の現場に女性は一人。なぜこの仕事を選んだのか。

現在「多気バイオパワー」には3人の女性社員が働いている。
その中で、実際に発電所の現場で作業行うのは、鵜飼さんのみだ。鵜飼さんはなぜこの仕事を選んだのだろうか。

「もともと大学では、バイオ燃料の生産のための藍藻の株の開発や培養を専攻していたんです。『多気バイオパワー』も同じくバイオをテーマとした取り組みを行っていたことから興味を持ったんです。企業説明会や面接でも社員の皆さんが魅力的だったこともあって、入社を決意しました。でも、まさか自分が現場に出て、作業員として発電所のメンテナンスをしたり、運ばれてくる木材チップを重機で運んだり、なんてことは考えていませんでした」と笑う。

「それでも実際に現場に飛び込んでみたら、身体を動かして人と関わっていくのが思いのほか自分の性に合っていると感じたんです。それに『多気バイオパワー』のスタッフは少人数でオールマイティな技術が必要ですし、発電所の内部構造を実際に触れて知ることができる機会も多いのが気に入っています。入社直後は戸惑いましたが、実際には新鮮で発見のある仕事を知ることができたのは良い経験だったと思います」

男性が多い職場で女性が一人働くという状況。やりがいや仕事のしづらさなどをどのように感じているのだろうか。

「仕事は毎日楽しいですね。働く上で、男女の違いを感じることはありません。ただ一つあげるとしたら、背の高さですかね。設備のボタンやバルブなどは、成人の男性が扱う位置にありますから。私は毎日、脚立を相棒にして発電所内を歩いていますよ(笑)」

岡南さんは鵜飼さんの働きぶりをこう語る。
「ガッツがあって、周りを明るくしてくれる存在です。仕事にも熱心で、颯爽と重機も乗りこなしますから。これからに期待していますよ」

「あえて失敗ができる」自社設備の強みが、スタッフを育てる

パワフルで仕事熱心な鵜飼さん。時にはその熱意が強すぎることもあるようだ。
「以前、炉に木質チップを運ぶための、スライドゲートを遮断するパーテーションの駆動部を割ってしまったことがあります。ちょっと操作時に力を入れすぎてしまって、バキッと割ってしまいました。その時はすぐに、部品を交換・修理をしてことなきを得ましたが、あれは失敗でした」

この言葉に一笑した岡南さんはこう話してくれた。

「『多気バイオパワー』は中部プラントサービスの自社施設ですので、私たちで操作が行え、故障などが起こった際にも迅速に内部の人材や部品で修理ができるのが強みです。その上で失敗しても発電に影響がないように、また設備も停止することがないよう、安全対策を確実に施して、社員が自ら考え、試行錯誤する余地を作っているんですよ。鵜飼さんのように失敗した経験は、社員同士で学び合うことで2度同じことが起きないように共有していますから、失敗も大事な糧です。
人材育成をする私の考えとしては、私たちの発電事業はO&M(Operation & Maintenance)が進んでいますから、こうした失敗を元に経験を積んで『多気バイオパワー』だけでなく他のバイオ系のプラントに配属されても力を発揮できるオールマイティな人材に育ってくれればと思っています」

鵜飼さんも「学ぶことは多い毎日です。現在の私は、中部プラントサービスの独自資格である、初級(一人で巡視・点検・調査などができる技術・知識レベル)の段階で、発電所のメンテナンス技術はまだこれからといったところ。それでも、岡南さんをはじめ多くのスタッフの期待に応えられるようもっと身体を動かして、設備を見て学んで、この発電所の業務を牽引できるような人材になっていきたいと思います」と話す。

その姿に頬を緩めつつ「期待しているよ」と岡南さん。
『多気バイオパワー』では確かな社員同士の信頼が築かれ、日々知識の共有や試行錯誤によって、効率の良い発電業務の追求と更なる安全確保の取り組みに挑んでいる。

岡南さん プロフィール

1993年入社 四日市事業所 機械課
2005年 火力本部 川越事業所 機械課
2016年 火力本部 西名古屋事業所 技術課リーダー
2020年 経営戦略本部
(多気第二バイオパワー建設&バイオマス利活用プロジェクトチーム) チーフリーダー
兼 発電事業部多気バイオパワー チーフリーダー
2020年 発電事業部多気バイオパワー チーフリーダー 兼 IT・広報部多気バイオパワーPR館 チーフリーダー

鵜飼さん プロフィール

2021年入社 人事企画部人材研修センター
2021年 8月 O&Mソリューション本部発電部多気バイオパワー

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