平山 剛さん

平山 剛さん

これまでの業務経験(キャリア)

平成7年、入社時の配属先は浜岡事業所(浜岡原子力発電所)で、原子炉本体や、 各種ポンプ等の補機関係のメンテナンス業務に携わりました。 限られたスペースの中で重量物の取り扱いを含めた作業を行うほか、シート等による作業エリアの区画、 フィルター換気装置の設置、専用の作業服やマスク着用など、作業員を放射線被ばくから守るための間接的な作業が必要なため手間と時間が掛かりますが、 安全性や作業効率は我々現場監督者の工事計画や日々の調整に懸かっており、大変やりがいの感じられる仕事でした。

その後本店の設計部署に異動し、浜岡原子力発電所5号機の新規建設に伴う、 油・水タンク、配管、ポンプ設備、鋼製架台等の計画・設計を行いました。特に学生時代に製図や構造力学等を学んでおらず、 当初は全くの素人でしたが、上司や先輩の教えを請いながら一つ一つ設計スキルを身に付けることができたおかげで、 何とか業務をこなしていくことができました。

建設工程後半の2年間ほどは現地に駐在しながら設計を進めました。 妻の第一子妊娠、出産と重なったこともあり公私共に多忙な日々でしたが、自らが強度計算を行い、 デザインしたものが目の前で形となって出来上がっていく達成感、満足感はどんな疲れも吹き飛ばすものでした。 また、現場での実際の作業の進捗や施工中の様々なトラブルをリアルに経験できたことは、 その後の設計業務において貴重な財産になったと感じています。

浜岡5号機の完成後は再び本店に戻り、上越火力発電所の新規建設や、 発電所以外の各種工場向けの新規設備導入もしくは改造に関わる設計を行った後、 3年間の関係会社設計部署への出向を経て、現在は主に各種工場に設置するLNG(液化天然ガス)供給設備 (ローリー車で運んだLNGを貯蔵・気化させてガスとして供給する設備)等、エネルギー設備の設計に注力しています。

特に近年は、EPC(Engineering、Procurement、Construction/設計・調達・建設)を一貫して計画、 マネージメントすることへの要請が高まっており、設計対象自体もより上流側へと移行すべく、部員一丸となって日々研鑽に励んでいます。

現在携わっている分野や職種

現在の所属部署は、エンジニアリング本部内のEPC技術部です。旧部署である機械設計部・電気計測設計部の流れを汲みつつ、 EPC案件に軸足を置いてより上流かつ広範囲な設備を対象としてエンジニアリングを行っていくために、今年1月に発足しました。

現在直接手掛けている案件としては、非常用のディーゼル発電設備・ガスタービン発電設備、LNGサテライト設備があります。 非常用発電設備は、その名の通り、工場等の非常時(電源喪失時)に軽油等の燃料を用いて発電し、必要な電源を供給する設備です。 LNGサテライト設備とは、ローリー車でLNG基地から運搬されるLNGをユーザーの工場において貯蔵し、 必要量を気化させてガスとして供給する設備です。

業務内容としては、まずは営業段階での基本設計と見積作成、受注決定後には予算を作成した上で詳細設計を行い、 機器・資材の仕様検討および発注、工事計画および工事発注を行います。ここで基本設計・詳細設計とは、要求仕様に合わせた設備種別の決定から始まり、 系統構成設計、制御設計、配管・流体設計、周辺機器設計、熱量計算、鋼構造設計、耐震・耐風設計、コンクリート基礎設計と多岐に亘る設計業務を指します。 工事施工後には、各種試験・検査と、設備の試運転調整を行い、お客さまへ引き渡しとなります。 また、設備によっては官庁等への申請や届出が必要なものもあり、これらに必要な図書類の作成も行っています。

主要件名であるLNGサテライト設備を例に取ると、LNGの性状(温度と蒸気圧の関係、各相における密度、発熱量など) を理解した上で、工場の需要曲線を元に熱量計算等により貯槽容量や気化器の能力といった基本仕様を決定し、以降、 各種解析ソフトやCAD等のツールを使用して、原則としてすべて自社で全体の設計を進めていきますので、 これらに関わる基本的な知識とスキルが必要となります。ただし、設計内容を標準化したマニュアルに沿い、 設計経験者とペアを組んでOJTにより習熟を図っていきますので、スタート地点で必要という訳ではありません。

前述しましたが、今後はより上流かつ広範囲に設計対象を広げていきます。 例えばLNGサテライト設備であれば、現状は要求される量の燃料を供給する場所までを設計対象とするケースが大半ですが、 今後はその先にある蒸気ボイラなどの燃料消費設備までを対象とし、設備の劣化更新や燃料転換、さらにはコジェネ化等も検討の視野に入れ、 幅広く積極的な提案を提供していきたいと考えています。

現在の仕事の魅力

我々EPC技術部は、お客さまの要求仕様や性能を満足するために必要な機能を備えた設備を提供することを目的とし、 設計・調達・建設を一貫して計画し、マネージメントを実施します。

業務の核を成す「設計業務」については、企業ごとにその捉え方や取り組み方が異なっていて、 基本設計と詳細設計とを別々の部署で分業する形、計算等の実務はアウトソースしてそのマネージメントに重きを置く形、 逆に特定分野に特化した設計実務のみを行う形など、一言で設計と言っても、実際の業務には様々な形態が存在します。

業種や各企業の置かれた立ち位置によって求められる姿に違いが生じることは当然で、 どの形が正解であるというものではありませんが、個人的には、営業段階から工事完了までを通し、見積や工事計画、ある程度の計算・解析や図面作成、 品質管理までを自社で行う当社のスタイルが、やりがいや達成感を得る上で重要であると考えます。

お客さまからの技術的な質問を受けた際に、外注先に確認しなければ回答できないというのは、 あまり格好が良いとは思えませんし、スピーディな対応を目指す上で弊害となります。また、施工中のトラブルに設計的な視点から解決策を見出し、 それを次の案件に反映していく、あるいはこうした方が効率よく施工できるといった気付き事項を反映していくことは、 品質や、価格競争力の強化につながります。

こうしたスパイラルアップを直接実感できることや、自らが設計したものが完成するのを目の当たりにできることは当部署の特権であり、 苦労を充足感に変えるために無くてはならないものです。

まだまだ会社としても個人としても実力不足の分野も多いため、新たに学び、幅を広げていくことが必要です。 また、今後EPC案件を拡大していく中では、現在の業務形態をフレキシブルに変化させていかなければなりませんが、 一貫した設計体制という現在のストロングポイントは大切にし、やりがいや達成感を味わうことのできる当社および当部署の魅力を失うことの無いように、 対応していきたいと思っています。